近代技術が進歩し続けるたびに私たちは生活を便利にしてくれる新製品の登場に胸躍らせるものです。その結果使われなくなった昔の製品には次第に目をくれなくなっていくもので、そこでゴミがまた増えてくるという寸法です。一時はVHSビデオレコーダーが全盛を極め、世界各国の家庭に広く普及しました。しかし時代は変わり、いまではVHSビデオはほとんど使われなくなりましたが、ここで紹介するツィルビナス・ケンピーナス氏はこのVHSテープのみを使って素晴らしい歩道を作り出すことに成功しました。
トンネル状のこの歩道に足を踏み入れて最初に感じるのは、果たしてこれらのテープにはどのような画像が録画されていたのだろうか、ということです。またテープが光を反射することでユニークなビジュアルエフェクトをかもし出し、はかない見た目によらずテープに触れない限りこの作品は十分長持ちします。近代のアーティストが使い古された材料を利用することで、見た目に美しいだけでなくリサイクルに焦点を当てたこのような作品を作り出すのは素晴らしいことです。
80フィートにおよぶVHS磁気テープ製トンネルはズバリ「チューブ」と名づけられ、ニューヨークに拠点を置くケンピーナス氏は「使われなくなった素材」を利用したということで多くの注目を浴びています。もっとも、単純にこのトンネルを歩くのは面白いものです。わたしたちももしかしたら自宅にあるテープを使って同じようなのが作れるかもしれませんね。