排ガスの少ない生物燃料で飛ぶ飛行機

現状

2011年7月はアメリカの生物燃料業界にとって商業用ジェット燃料に生物燃料のブレンドが認定されたということで記念すべき時になりました。具体的には50%までの生物燃料の混合が認可され、その際に詳しい情報の提出が義務付けられています。これは長年にわたる試験と調査が航空業界とオイル業界そしてエンジンメーカーとの間で繰り返されてきた賜物です。今回の認定の素晴らしい点は、ブレンド燃料はエンジンには何の改良を加えずに利用できるという点です。多くの航空会社がすでにこのブレンド燃料を使い始めています。

飛行機は液体燃料の使用量はわずか10%で、排ガスは地球の全体の2%にすぎません。ですから真の生物燃料開発の理由は30-50年先にガソリンが枯渇する可能性を見越してのことです。飛行機の一般寿命は40年程度ですから、なんとか対策を打たなくてはもしガソリン供給が枯渇した際には空の旅に大きな影響を与えてしまいます。航空業界は成長を続ける一方で2030年までには中国、インドなどの開発途上国における需要の高まりと共に6倍に膨れ上がる見込みです。

ジェット燃料業界は年間$1400億が動く巨大産業で、商業用飛行機には2億トンもの燃料が使われます。給油に関しては世界中の1600の空港で使われる95%の燃料が厳しくチェックされています。ですから引き続き燃料の質を監視して品質向上などに役立てていくことができます。ちなみにアメリカ国内だけでも自動車用のガソリンの給油施設は160000箇所にのぼります。

現在の生物燃料コストはジェット燃料の約3倍ですから飛行機業界は少しでも補助金が出るように動いています。生物燃料の値段は藻や使用済み料理油、都市部の廃棄物や植物廃棄物などの利用で下がることが期待されます。EU諸国では生物燃料を使用することでカーボンクレジットというカタチでコストが少し負担されるようにしています。

ボーイングとエアバスという2大飛行機メーカーも積極的に生物燃料を取り込んでいるのも業界にとっては良い兆候です。

トレンド

1.EADS

ESDSはエアバスの親会社で新技術に関しては先駆け的な存在です。これまでに2010年のベルリンエアショーでツインプロペラ式のDA42を生物燃料100%のみで飛行させました。ここではっきりと生物燃料の可能性が示されたのです。

ジェット燃料に比べて数倍高いのですが二酸化硫黄を完全に排除し二酸化窒素も40%削減します。燃費はジェット燃料よりやや優れていて、実用化にはわずかな調整が必要なだけだという報告をしています。

2.ボーイング747-8

パリのエアショーで生物燃料ブレンド版で2011年6月にシアトル~パリ間を飛行しました。使われたブレンドは15%生物燃料・85%ジェット燃料です。このブレンドは以前にアメリカ海軍と空軍で実地テストされており、数年以内に割合を50%50%にする予定です。

生物燃料に使われたカメリナは雑草のようにどこでも良く育ち水遣りもほとんど必要ありません。種には37%以上のオイルが含まれているため生物燃料に適しているのです。種を取った後には動物のえさとして使用できます。

ボーイングはエンジンの音を減らし排ガスを少なくした上で飛行可能距離の延長を目指しています。そのためにもGEエンジンを積んだ大型旅客飛行での使用にもGoサインが出ることが期待されます。

3.エアバス380

世界最大の旅客飛行機です。2階建て飛行機は500-800人まで搭載でき、2008年2月にエアバス施設のあるUKのフィルトンからフランスのトゥーロンまで60:40ブレンドで飛行しました。40%はガス液体燃料GTLで、ロールスロイスのエンジンを積んでいます。

GTLはガスを液化させるものです。天然ガスに加えメタンガスやその他のバイオマスから液体燃料を作り出せるのです。このテスト飛行では二酸化炭素量は変わりませんでしたが二酸化硫黄量はカットできました。

商業用に実用化するには大きな旅客機でもテストが必要不可欠です。

コンセプト

生物燃料は再生可能エネルギーの象徴です。初代生物燃料はコーンで作られブラジルとアメリカが携わりました。その結果食用コーンの値段が急速に上がってしまい、同じようなことがパームオイルを使ったマレーシアとインドネシアでも起こりました。

2世代目の生物燃料はカメリアなどの雑草系の食料ではないものから作られました。3世代目は1エーカー当たり30%も多く作成できる藻から取れたものです。今では使用済み料理油や一般ゴミからも作れるようになってきています。

生物燃料の使用でガソリンの使用スピードを遅くすることができます。

利点

生物燃料はどのようなカタチでも二酸化炭素と二酸化窒素を減らして二酸化硫黄を完全に無くします。ブレンド燃料の使用量増加に伴ってより多くの研究がなされて技術革新につながるでしょう。

さらには航空業だけでなくその経験を生かして地上での乗り物にも応用されたり液体燃料の普及にもつながることでしょう。

インパクト

ガソリンの節約や排ガス削減に加えて貧困地域の経済を助けることにもつながります。アジアやアフリカ、ラテンアメリカの一部は広大な土地に多くの生物燃料用の植物を育てることができます。燃料用の値段は高いですから農家にとってはありがたい限りです。精製もその場で行われて、品質の高いものは海外に、そうでないものも地元で使うことができるのです。

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