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大きな問題:原子力エネルギーは、皆が思うように本当にエコなのか?

Nuclear energy

なぜ今問題なのか?

いまや世界人口は70億を超えました。過去12年間で10億人が増えているのです。進む人口増加は、エネルギーなどの資源への需要を増やします。世界の80%以上のエネルギー需要は、石炭、石油、自然ガスといった化石燃料によって賄われており、これは温室効果ガスの排出を引き起こします。水素、太陽光、風力といった再生可能エネルギーは、わずか11%しか占めていません。こういった技術は依然として発展段階にあるので、今のところは世界のエネルギー生成においてサポート的な役割を果たしているのみです。

原子力発電の占める割合は、わずか7%です。代替のクリーンエネルギー源が現れるまで、原子力エネルギーを中間解決案として採用することが、世界中で構想されています。2011年3月の福島原子炉のメルトダウンは、原子力発電所に潜む安全性への懸念を再燃させました。すでに、イタリアとドイツは10年以内の全ての原発の撤廃を公表しました。インドのクダンクラム原発は、運転開始を控え反対運動に合っています。

原子力エネルギーが太陽光や風力ほど環境にやさしくないのは自明です。ウランの採掘やその輸送、処理は全て化石燃料に依存しています。現在の発電プロセスは二酸化炭素を排出せず、微粒子や硫黄酸化物・窒素酸化物も生みません。しかし、2万5千年もの間に使われてきた放射性燃料が深刻な問題なのです。例えば、ネバダ州ユカ山にある中央貯蔵施設では、放射性物質を処理しユカ山に輸送する際の安全性が、依然として問題になっています。

もし原子力エネルギーを廃止したら、どんなエネルギーがその代替となるでしょうか?

本当にそんなに深刻なのか?

アメリカでは、発電所から出るCO2排出量の90%が石炭火力発電所から出されていますが、これは電力総量のわずか52%をまかなうのみです。石油と天然ガスは32%を占めています。石油・ガス発電は、CO2を排出する上に、30年以内に枯渇すると予測される燃料に依存しています。開発途上国における化石燃料発電所の増加は、CO2排出の類似した不均衡な負担を生むでしょう。

放射性廃棄物の問題を生まない核融合ができるのは、少なくともこれから50年は先でしょう。エネルギー保全対策は、せいぜい開発途上国の需要の増加ペースを遅くさせることができますが、経済成長による需要の増加は、新たな発電所の建設でしか見合うことはできません。これらの経済成長は、炭素制御の合意に反しています。先進経済の消費過剰によって問題が引き起こされている以上、気候変動の懸念において人々のエネルギー使用を止めることはできないのです。

どんな意見があるのか?

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)事務局長、エレン・ペロスの意見

IREAは、原子力エネルギー計画を支持しない。なぜなら、原子力エネルギーは長期の複雑なプロセスであり、廃棄物を生み出す上に、比較的危険性が高いからだ。

マサチューセッツ工科大学「原子力エネルギーの将来」研究チーム共同議長、ジョン・ダッチ教授の意見

可能な代替として原子力発電を取り除くことで、地球共同体がCO2排出に関する制御ができなくなってしまう。

イギリス原子力規制局主任検査官、マイク・ウェイトマンの意見

イギリスの原子力施設は、基本的に安全性の欠点は有していない。福島から学んだ教訓は、イギリスにおける安全性の更なる高まりに生かされるだろう。

発展

1. ITER

ITER

国際熱核融合実験炉 (ITER)とは、核融合試験炉を建設するプロジェクトです。このプロジェクトには、EU,アメリカ、日本、中国、ロシア、韓国、インドが参加しています。約200億ドル以上のコストがかかる見積もりで、EUはその45%、そして他6カ国はそれぞれ9%ずつ負担する予定です。2007年フランスのカダラッシュで建設が始まり、2019年に運転が開始する予定です。50MW以下の出力でたったの1000秒で、500MWの電力が発電される見通しです。核融合炉は、「燃料」としての海水に存在する重水素同位体のみを使用します。重水素同位体は、他の三重水素同位体と高温で融合し、エネルギーを生み出すのです。三重水素は、原子炉内で重水素から作られます。

これには、乗り越えるべき多くの科学的問題があります。高温プラズマに耐えられる原子炉建築のための材質、安全な中性子衝撃の開発はその例です。原子炉内で作られる三重水素同位体は危険なため、漏洩を避けて炉内で完全に消費される必要があります。これは、非常事故の場合にも当てはまります。

プロジェクトが不成功に終わったとしても、1000秒のアウトプットを稼動発電所に変換するのには、まだ30~50年間はかかるでしょう。ITERに使用される巨額な費用を、より早い結果を出せる再生可能エネルギー・プログラムに使うべきだという批評があります。

2. ハイペリオン・リアクター

Hyperion reactor

ハイペリオン・リアクターは、新分野「カートリッジ」原子炉の一部で、世界中で導入が進められています。この密封式の独立原子炉は、10年間連続して25メガワットの電力を発電することができます。稼動部はなく、プルトニウムや兵器級の核分裂性物質は生みません。燃料は窒化ウラン、冷却材は鉛ビスマスです。冷却材の沸点は3000°Fを超えるため、水冷却炉よりも本質的に安全と言えます。冷却材から出た熱エネルギーは、タービンを動かし発電する加熱蒸気や加熱CO2ガスを作るのに使用されます。

カートリッジ原子炉の大きさは1.5 X 2.5メートル、重さは約50トンです。輸送コンテナや列車や船で送ることができるようにデザインされました。メンテナンスが不要なため、地中深くに埋められています。燃料の寿命が尽きると、カートリッジ原子炉は補給のために製造所に送り返され、使用済みの窒化ウランが回収されます。

ハイペリオン技術は、ロスアラモス国立研究所の研究に基づいています。承認プロセスには長い時間がかかりそうですが、基本技術に疑問が投じられることはないようです。会社は、発送を開始する2013年に4000のカートリッジ発電所を販売したい考えです。しかし、この新たな原子力技術の承認プロセスが障害ともなり得ます。

3. インドの25番目の原子力発電所

India 25th power plant

インドは、12億人の人々を貧困から救おうと試みて、経済成長を記録する国の一つであり、それに伴い電力需要も増加しています。2011年7月、ラージャスターン州におけるラジャスタン原子力プロジェクトの7つ目の原子炉建設が開始されました。稼動している6つの原子炉は、1180メガワットの電力を発電しており、同プロジェクトはインド国内の最大規模の原子力発電所になっています。8番目の原子炉の建設は、今年度後半に開始される予定です。

同プロジェクトに導入された加圧水型原子炉は、インドで開発され、沸騰水型炉よりも本質的に安全だと言われています。冷却水は高圧を受けているため、炉内で水蒸気は生まれません。その上、主冷却材は第二次水循環からは完全に分離されているため、発電に使用された水の放射能汚染という危険は全くありません。警戒すべき点は、高圧パイプと主冷却材の輸送です。これらに欠陥や漏洩が見つかった場合、事故につながります。

主な障害

主な障害は、原子力が放射能事故という大災害を引き起こす可能性があるということです。発電所の近くに住む人々には、遺伝障害や高いガン発生リスクがあるという誤情報が恐れられています。福島の事故によって、世界中で原子力発電への反対に火が付きました。その代替として石炭ベースの発電への続く依存もまた深刻な結果を生み出しますが、原子力事故に比べれば被害が少ないと言えるのでしょう。

何ができるのか?

ITERの例のように、世界の先行的な国々が共同して実験的核融合原子炉に取り組む一方で、核分裂炉は共同してそれぞれの国に設置されています。これら原子炉は、できる限りの安全技術を使用し、国際的な専門チームによって稼動されるべきなのです。これにより、安全基準が全て維持され、核分裂性物質が兵器利用される危険性がなくなります。発電所は、砂漠地帯に設置されるべきでしょう。

開発途上国の電力の需要がどのように見合わされるべきか、公開討論も必要です。現在、基本的な質問には答えずに自身の主張をする圧力団体による一方的な立場ばかりがあります。

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