コロラド州リトルトン市にあるインフィニット・パワー・ソリューションズ社(通称:IPS社)の発表によると、当社が開発した薄型フィルム製の充電式電池は7万5千回も充電することができるということです。 これまでの充電式電池の大半が、300から1000回ほどしかフル充電できず、使い切ったあとは買い替える必要があります。この革新的な発明によって、充電式電池はデバイスと同じくらいの寿命を手にいれることになるでしょう。これまでのIPS社は1万回の充電ができることを誇っていましたが、それよりぐっと寿命がのびました。
この薄型フィルム製電池のブランド名は、英語で「薄いエネルギー」を意味する「シナジー」という合成語です。リチウムイオン電池技術を用いているのですが、この技術は携帯電話やクォーツ腕時計、電気自動車などのポータブル機器の電池としてよく採用されています。平均すると、アメリカ人1人につき、1年間で8個の充電式電池を捨てているという統計があります。その結果として、廃棄物処理場はひどい金属汚染にさらされているのです。「シナジー」のユニークな電池構造と固体電解質、きちんと管理された製造過程によって、より良いライフサイクルをも生みだすことができるかもしれません。このような要素は、他のリチウムイオン充電式電池の製造にも応用できるはずです。
IPS社のバッテリー技術
IPS社の薄型フィルム製電池は、驚くほど薄いという点でユニークです。厚さはわずか0.17ミリで、切手と同じくらい。この薄さのおかげで、RFIDタグやスマートカードのような平らな製品にも電池を埋めこむことができます。移植用の医療機器やワイヤレス遠隔装置などにも使用することが可能です。
「シナジー」は、他の充電式電池で必要とされる電流制限回路を必要としておらず、一定の電圧量で少しずつチャージすることができます。空の状態からであっても、充電には15分もかかりません。さらには、充電を繰り返すごとにバッテリー容量がだんだんと減っていってしまうという、いわゆる「メモリー効果」が起こらないのです。「シナジー」はアプリケーションによってはさまざまなエネルギー源から充電をすることができます。たとえば、太陽電池や、運動と振動を利用したキネティック充電、漂遊RF電界などからの充電ができます。
寿命についてのIPS社の言い分は、カーネギーメロン大学の教授によって実証されています。その教授いわく、「シナジー」は充電式電池の寿命において画期的な発明だそうです。2012年5月15日から18日までベルリンで開催される予定のエクスポにて、IPS社はこの新技術を発表するつもりです。
薄型フィルム製電池は、限られたデバイスの他ではまだ使用できません
「シナジー」は、今のところ100mAHほどしかエネルギー量がなく、携帯電話やタブレットコンピューター、音楽プレーヤーなどに必要な電力を作ることができません。コストがとても高く、サイズのせいでコストが安いバッテリーを使うことができない特定のアプリケーションだけの使用にとどまっています。
参考サイト: evworld