なぜこれが大きな質問なのか?
カーボン排出が地球に及ぼす影響はよく知られていますが、大きな問題は重大な影響を実際に及ぼすにはどのくらい時間がかかるのか、という点です。それでも人類は発電所や精製所セメント工場などの建設を続けています。カーボンの環境に及ぼす最悪の影響は気温の上昇です。これに対抗する唯一の方法にはカーボンを確保し保管するCSSしかありません。二酸化炭素を大気に出さないようにすることで長期的に見て地球温暖化と気候変化を防ぐことができるのです。
本当に深刻なのか?
CSSのシステムは基本的には光合成と似ています。工場から排出される二酸化炭素は液状に変換され、専門工場を通りパイプラインを通って地下深くまで送り込まれます。これには2つの目的があり、大気中の二酸化炭素量を減らすことと再生利用式エネルギーの使用を推進することにあります。
専門家の意見は
HDSインターナショナル取締役、タソス・レカシナ氏
「CSSは効果的だろう。産業界からでる排ガスを減らし、生物エネルギー生成に利用もできます。ゆくゆくは海洋でも藻の生育を通してカーボン排出軽減に応用できるでしょう」
GNGサイエンス地質学者、ブラッド・フィールド氏
「CSSは国際気候変化評議会の定義する気候変化に対抗する要素を持つ、大変重要なシステムです」
カンタベリー大学のアーサー・ウィリアムソン教授・エメリタス教授
「CCSのはたらきはゆっくりで時間がかかり過ぎる。それでもカーボン排出を減らすには、計画段階を超えて今すぐにでも始めるべきだ」
同じくカンタベリー大、ドクターイアン・メイソン
「CSSはコストの問題から短い期間しか継続できないだろう。カーボンを地中に埋めることで地震を誘発する可能性はきわめて高いが、ニュージーランド国内で使用されている技術に大きなインパクトを与えることになるだろう」
環境マネジメント省、リンカーン大学のドクターシャノン・ペイジ
「CCSは貯蔵スペースが確保できる場合にのみ有効です。貯蔵スペースでガス漏れが起きる可能性は高いのです。経済的には実現の可能性は高いです」
開発例
1.コーデキスによる改造酵素によるカーボン保存
コーデキスの研究チームはカーボンのコストパフォーマンスの良い保存には、遺伝子組み換え酵素との反応が有効だと発見しました。カーボニック・アンハイドレーズという名の酵素によってカーボンの捕獲効率が100倍に跳ね上がるのです。捕獲保存に必要なエネルギーも節約することができます。これまでは酵素は通常25度から65度でしか生息できませんでしたが、遺伝子組み換えによって85度まで対応し30分間生息できるようになります。それでも温暖化ガスに適応するには130度まで耐えられなければいけません。
2.イオンエンジニアリングの発見した技術
コロラドにあるイオンエンジニアリング社は低コストでできる二酸化炭素捕獲法を発見しました。普通はCSSは水性溶解液に頼りますが、熱せられると蒸発してしまいます。ですからその都度一トン当たり$50-100を費やして新しい溶液に取り替えなくてはいけません。しかしイオン性液体ならば蒸発しない上、交換費は$20に押さえられます。
3.MTUの発見した溶液
ミシガン工科大学の化学エンジニアプログラムが安くできるカーボン捕獲法を発見しました。これによって煙突から排出される二酸化炭素を50%減らすことができます。経済的に優れており、具体的には煙突内をガスが上昇するにつれ液体が下降して二酸化炭素を約半分捕獲するという仕組みです。他の手法のように圧縮システムを通る必要がありません。この液体は再利用できて、副産物は建築素材として使用できます。
主な問題点
問題点としてはこの技術は炭鉱との共存には対応していないことです。二酸化炭素が安全に地下に保管される保障はありませんし、準備コストも莫大です。例えばこの技術を備えた炭鉱建設には$200億がかかり、この施設だけで全体の40%の電力を消費します。パイプラインのコストは一キロ$1700万です。さらに保管エリアがガス漏れを起こすことも考えられます。
対応策
カーボン埋蔵技術は大気中の二酸化炭素を減らすには確かに有効です。何兆トンともいう量のガス保存が可能であるとされていて、適切なロケーションがいくつか見つかっています。実際にノルウェーとアルジェリアで作業が行われていますが、これでは十分ではありません。全部で3400個の同様のプロジェクトが必要なのです。障害も多く、まずは適当な場所探し、そして技術面、さらに水質汚染や地震の誘発といった地質的問題もあります。