現在の電気自動車の問題点
ご存知のとおり、現在の一般燃料の供給可能量は少しずつ減ってきていて、人口は増える一方ですからこの状況は悪くなる一方です。この燃料が再生するには何千年もの時間がかかるで、これも燃料問題に拍車をかけています。最近では電気自動車が台頭してきていますが、これはもちろんいいことである一方でいくつかの問題点があるためなかなか本格的な実用化には至っていないのが現状です。つまり、電気自動車の大半はリチウムイオン電池で動くのですが充電の必要頻度がとても高いのです。これでは充電ステーションの少ない、もしくは全く無い地域では電気自動車は使えません。家庭電源からも取れるようにはなっていますが時間がとてもかかり、フル充電に10時間さらにひどい時には20時間にのぼるケースも出てきます。最長走行可能距離も一般燃料車に比べてとても短く、長距離移動をするユーザーは神経質にならざるをえません。
リチウムの希少性
電気自動車の電池に使われるリチウムイオン電池は、自然界にそのままでは存在しないので精製される必要があります。それどころかリチウムの量が減少していることがささやかれ始めており、これに代わる素材の発見開発が求められています。電気自動車の場合はリチウムは大量に必要となるのでこれが電池そのものの大きさにもつながってきてしまいます。仮に皆が電気自動車に乗り換えたとしたらリチウムはあっという間になくなってしまい、これがまた新たな問題を引き起こしてしまうことになります。商業用にリチウムを精製するのも時間がかかり、1トン精製するのに2年かかるのです。
買い替えに値段がかかる
リチウムイオン電池の欠点は寿命の短さです。これは電気自動車に限ったことではありませんが、MP3や携帯電話の場合と違って電気自動車の電池はもっと高価なのです。買い替えの際の値段は車の年代や種類によって$1000~$6000になります。ユーザーはいちいちディーラーに行かなくてはいけませんし、工賃も普通は$900くらいかかります。これでは電気自動車を買おうという気にはなかなかなりません。
クリーンな燃料電池
これに代わる電池として現在注目を浴びているのが水素電池です。素材はあふれんばかりにありますし、他の素材と組み合わせて動力源となることが出来ます。ガスのように天然の状態では使えませんから空気と化合させて電気、蒸気、そして熱を発生させる必要があります。リチウムイオンのように水素電池自動車は排ガスゼロでグリーンです。
水素の特長
1.豊富なエネルギー
ほかの素材に比べて重さあたりに蓄えられているエネルギーの量が最大級です。水の分子がHHOに分解されると、一般のガスやディーゼルよりもさらに効率的です。水素によって動くエンジンは一般エンジンに比べてさらに効率よく走ることが出来ます。具体的には2.2ポンドの水素は1ガロンのガソリンと同じだけのエネルギーを放出します。
2.汚染性なし
ただエネルギーを発するだけでなく、汚染もしません。副産物は水と熱だけで二酸化炭素は出てきません。
3.たくさん資源がある
ガスやディーゼルと違って水素はたくさんあり、枯れることはほぼありません。これもリチウムイオン電池には無い特長です。
トレンドの動き
1.ベンツの送る水素カーF125
人気のメーカー、メルセデスが発表した水素カーコンセプトはF800からデザインを踏襲しています。見た目ではスムースで流動的なラインが見事でまさにメルセデス、という感じです。ガルウイングドアも近未来的でインテリア機能ともマッチしています。4つの電気モーターで231馬力を発生し、最高時速は137マイルを実現します。加速性能もなかなか素晴らしく、時速0から60マイルまで4.9秒です。さらに素晴らしいのは水素消費量で100キロあたりわずか0.79キログラムです。ガスタンクはカーボンファイバーでできていて700バーの水素を貯蔵できます。追加パワーは10キロワット内蔵リチウム電池パックで対応し、燃料電池が稼動するまでの時速31キロまでクルマを動かします。
2.トヨタFCV-R
2015年発表予定のトヨタの新車です。まだコンセプト段階ですが、大きめサイズのサルーンカーで2つの10000ポンド平方インチ水素タンクを備えており1つは後部座席の下、もう1つはトランクドアの下にあります。燃料電池は全部座席の間に設置され、2個目の電池は後部座席の後ろです。トヨタは現在の推定販売価格85000ポンドからのコスト削減に力を入れています。
3.マツダのノルウェイ仕様RX-8・RE
数年前にすでにデビューを果たしていますが、同社の最初の水素カーということでここで取り上げておきます。このクルマの登場はノルウェイにおける水素ステーション拡大プロジェクトの開始と重なっていて水素カーの人気に拍車をかけました。このハイブリッドカーの水素タンクの容量は2.4キロです。
向上が必要な部分
1.コスト
ご多分にもれず、水素から電気を発生させるのはお金がかかります。複雑な技術を搭載した機械が必要となるためで、これが人気爆発への足かせとなっています。
2.貯蔵における安全性
水素はクリーンですが揮発性も高く燃焼性をもっています。タンクは漏れの無いように細心の注意が払われていますが、完璧とは言えません。
3.化石燃料頼みの状態
水素からできたエネルギーは大きいですが、それを作り出すのに必要なエネルギーも多く要します。そのエネルギーは一般の化石燃料ですからここで環境汚染が起きてしまいます。