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着陸時のブレーキエネルギーを利用して地上走行を行う、未来の航空機

エアバスA320は重量およそ110,000トンで、その重量とスピードにより着陸時に最大3メガワットのエネルギーを発生します。このエネルギーはディスクブレーキの熱として排出されます。英国・リンカーン大学の研究者チームが、この排出されるエネルギーが、ハイブリッド車のブレーキシステムと同様、電力として再利用することが可能であると発表しました。

Aircraft of the Future Could Capture and Re-Use Some of Their Own Power

チームは、航空機の着陸装置に装着する電気モーター発電機の実現可能性を確立しました。航空機の着陸時、車輪に取り付けられた発電機が発電を行い、発生した電気は搭載されたバッテリーに充電されます。着陸手順の最後にジェットエンジンが切られ、機体は電気モーターでターミナルまで地上走行します。搭載されたバッテリーはターミナルで通常電源を使ってサイド充電され、次の離陸のための地上走行のために使われます。

エンジンを使わない地上走行は、欧州宇宙飛行研究諮問委員会(Advisory Council for Aeronautics in Europe:ACARE)により基本方針として定められています。滑走路-ターミナル間の地上走行には、毎年およそ500万トンの航空燃料が使われています。これは機体が消費する燃料のおよそ5%です。地上で燃焼するこの航空燃料から排出される二酸化炭素は、空港周辺の大気汚染やスモッグを引き起こします。また高音のエンジン音は、代表的な騒音公害です。ACAREはエンジンを使わない地上走行実現に向けて制動エネルギーを利用するためのいくつかのアイディアを検討してきましたが、リンカーン大学のこの案が実現可能性を持った初めての計画です。

このアイディアを実際に取り入れるまでには、まだ課題が残されています。まずはじめに、機体に搭載するバッテリーとコンバーターのサイズと重量を決めることです。どのようなサイズ・重量が必要なのか、そしてそれらを搭載して経済的に飛行するためには何がベストであるのか、という課題があります。その後、機体に搭載される全ての機器に必須である、安全性・信頼性試験をパスしなければなりません。

また航空機の補助動力装置(APU)メーカーであるハネウェル社(Honeywell)とフランスの着陸装置メーカー、サフラン社(Safran)が、電動APU開発計画を発表しました。航空機のAメインエンジンを始動し、また航空機が地上に鋳る間の照明やエアコンシステムに電力を供給するAPUには、小さなガソリンエンジンで動力が供給されます。ハネウェル社/サフラン社共同プロジェクトでは、ガソリンエンジンの変わりに車輪の着陸時に発生するブレーキエネルギーを利用して駆動する、幅のせまい短距離飛行の航空機の地上走行用APU開発を目的としています。電動APUは、増えた分の重量の一部を相殺するのに役立つでしょう。また、滑走路-ターミナル間を自力で走行し、機体を押すための車両を廃止することにつながります。

 

Via: Sciencedaily

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