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エネルギー保存の新しい可能性

北カリフォルニア州立大学(NCSU)の物理学者チームは蓄電コンデンサのもつ電力貯蔵、放出能力について新たな見解を発表しました。この発見によって、電子自動車に電池との共用で利用できる超蓄電コンデンサの開発が加速する可能性がでてきます。リチウムイオン電池は電気を貯蔵しておくのには適していますが、速やかな放出に難があり、アクセル加速能力に影響を与えてしまいます。電池内出のエネルギー化学反応が遅いのが原因ですが、蓄電コンデンサは放出スピードもミリ秒単位で可能になります。しかし貯蔵電力量に限りがあるので電池との共用が必然となります。

電池とコンデンサが共用されている例としてはカメラのフラッシュが挙げられます。電池からの電力でコンデンサが充電されてそこからフラッシュに使う電力が流れ出しているのです。また医療用の蘇生マシンに流れる電気ショックもこの技術によるものです。

2007年には同大学の別のチームがフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)を絶縁体として使用するとポリプロピレンやポリエステル薄膜のような従来の素材と比べて7倍エネルギー貯蔵率が上がるということを発見しています。この発見を受けてPVDFは多量のエネルギー貯蔵が求められるケースで使用されていますが、その機能の原因自体についてはまだはっきりしていません。

同大学のビベック・ランジャン博士に率いられるチームが新しい絶縁体素材に対するコンピューターシミュレーションを行った結果、電流が流された際にPVDFの全分子が極化したのち、一瞬にして同一方向に並び替えられるということが分かりました。これは他の素材のように電極と接している分子が先に極化して、その他の分子がそれに促されるように極化するというような流れとは異なっています。しかもこの流れではコンデンサにかかる電力をいくらか消費してしまうことになりますから、今回の発見によってより高性能なコンデンサ素材、例えばナノテクノロジーなどを使用した素材の生成に望みを持たせてくれます。

高性能蓄電コンデンサ貯蔵の実現は電気自動車においてアクセル機能の向上だけでなく、街乗りの際の回生ブレーキによるエネルギー回復機能においてもおおきな向上を実現してくれます。さらにはバッテリーのサイズも小型化できて、コンデンサによって追い越しや山越えなどの際に追加パワーを供給してくれるようになります。

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