水素燃料電池は、発電のための大規模利用としては比較的新しい領域です。いまだに商業ベースの水素燃料自動車の生産に至っていない自動車産業をはじめとした重要な分野においては特に、大規模運用を妨げる問題が残されています。 しかしセントラルフロリダ大学の二人の研究者たちが開発した水素燃料電池のためのトライメタル（三種の金属からなる）電解触媒によりこうした問題は好転するでしょう。この電解触媒により水素燃料電池の効率や経費効率も格段に向上します。
現状、水素燃料電池は触媒として非常に貴重で高価なプラチナを使用しています。水素燃料電池の酸性度の高い溶剤への露出に対して耐性を持つ金属は非常に稀で、プラチナはその一つです。そのため、水素燃料電池は非常に高額なものになっているのです。
この問題を改善するため、Sergey StolbovとMarisol Alcántara Ortigozaの二人の科学者たちがオリジナルのトライメタル触媒を考案しました。3層になったサンドイッチ状の構造からなるこの触媒は、それぞれの層のいくつかの安定した金属の組み合わせを使います。内部構造における反応は、第一層における酸化還元反応を引き起こし、第二層での電子構造を逆転させ、第三層が回路基板として作用するのです。触媒に使われる金属は、比較的入手が容易な金やパラジウム、安価なルテニウムや鉄、タングステンなどです。
そして、これが最も重要な点ですが、複数層の触媒を使うことにより、酸性溶媒の腐食性を失わせることができるので、タングスステンのような基板への影響がなくなるのです。この技術により水素燃料電池の能率は飛躍的に向上し、プラチナに比べて安価な触媒を使用するために、コストも低く押さえることが可能です。
Via: Physorg