鋏の鋭利な刃は、蜘蛛の鋭利に切れる脚と同じ静けさを持っていると、アーティストのクリストファー・ロックが巧みに作り上げたこの「ハサミの蜘蛛」の写真を見て気が付きました。ゆっくりと這うように歩く蜘蛛は、あなたの皮膚から血を吸いあげ痛みを与える 恐ろしく残忍な種であるような印象を与えます。しかし当然心配には及びません。これはいずれ捨てられる廃棄物の素材を使って作られた、ただの芸術作品なのです。
ここで問題になるのは、ハサミが不用品なのかという事です。私達の殆どにはゴミではありませんが、アメリカ国土安全保障省運輸保安庁(TSA)にとってハサミは空港ターミナルで押収した無数の個人の所有物で、この理論で行くとハサミは空港当局にとっては明らかにごみなのです。クリストファーはこの無数の押収品を使って溶接し恐ろしい金属の蜘蛛を作り、私達を驚かせました。クリストファーは蜘蛛が豊かで優美にみえるようハサミに、最高のもの以外は充填剤を使いませんでした。
金属廃棄物 は多くの肯定的な点があり、これらの芸術作品の様に金属廃材から頑丈で長持ちする作品を作ることが出来ます。紙やボール紙等で作られた脆い芸術作品に比べると展示や輸送が非常に簡単です。これらの再生ハサミはその形と姿を変え、不快な小さい獣の形をした蜘蛛として新しい生命を吹き込まれたのです。