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熱質量壁がエネルギー消費を減らす

アメリカの建築業界は、2012年の間に45~50万件の家が建設されるだろうと予測しています。そして、これまでのものと違い、コンクリート壁の家の割合が増えています。過去には、大半の家は木の骨組みとレンガや日干しレンガで作られていましたが、木の骨組みはアルミやスチールのものに変わりました。アメリカにおいて、家の壁にコンクリートが用いられるようになったのはここ10~15年ほどと、比較的最近のことです。

Thermal Mass Walls

コンクリートの壁は、レンガのものに比べて15%程度割高ですが、その分のメリットがあります。最も大きい利点は、以下に説明する通り、光熱費の節約ができることです。またコンクリート壁は強く、火災やハリケーンなどによる被害へのより良い防御となります。シロアリの害を受けず、湿気も溜め込まないためカビも生えません。

表面の仕上げには様々なものが可能ですが、一般的なものはスタッコ仕上げです。コンクリートの外壁には様々な原料のタイルを取り付けることが可能ですし、内壁の場合には塗料や壁紙、布地などで仕上げることもできます。

コンクリート壁の唯一の大きなデメリットは、一度設置した後は壁を変えることがほぼ不可能なことです。例えば、レンガの壁と違い、コンクリートの壁に後から窓やドアを取り付けることはできません。

熱質量壁で光熱費を節約する

熱質量壁は、厚さ4インチのコンクリートを2インチのポリスチレンを膨らませた発泡スチレンで挟み、さらにそれを2インチのコンクリートで挟んで作られています。発泡スチレンの層は16インチごとに打たれたポリマーの支柱でコンクリート表面に固定され、コンクリート層の間の熱伝導を防ぎます。サンドイッチ状のパネルには、ドアや窓、ケーブルや管などのためのビルトイン開口部が予め成型されています。こうして工場で製造されたコンクリート板は、建築現場に運ばれてクレーンを使って設置します。4000平方フィートの家が、現場で作っていく方法では何ヶ月もかかるところ、この方法では8時間程度で建てることができます。

内側の発泡スチレンの層が、この熱質量壁が持つ光熱費を節約できるという特性を実現しています。発泡スチレンが、2つのコンクリート層の間のバリアとなって断熱材の働きをするからです。夏の間、冷房を使うと壁の内側表面と外側表面ではおよそ20~40度(華氏)の温度差が生まれます。断熱材がないと外の熱がコンクリート壁を通って室内に伝わり、負荷がおよそ30%増えます。また冬季には、室内は暖房で温められて外気温との差はおよそ50~80度(華氏)にもなり、断熱材がなければ室内の熱が逃げてしまいます。

発泡スチレンの断熱効果により、コンクリート壁の内側表面は熱を蓄えます。冬季、暖房で室内が暖められると、内側のコンクリートも室温まで温められます。夜、エアコンの温度を下げたり、切ったりしても、コンクリートが蓄えた熱により、室内の温度は保たれます。同様に冷房をかけた部屋では、冷房を切ったあとにもコンクリートがしばらく部屋の温度を保ちます。

コンクリートが持つこの熱貯蔵効果は、時間帯による電気料金設定がある場所では光熱費を節約できる効果も見込まれます。低い料金設定の時間に冷暖房をつけ始め、ピークの時間帯には減らすことができるからです。

ICF(型枠兼用断熱材)

熱質量壁と同様のものに、ICF(Insulating Concrete Forms 型枠兼用断熱材)があります。このタイプは、コンクリートを断熱材で挟んだものです。ICFの壁は、断熱材でできた型にコンクリートを流し込み、木やスチールの板で支えます。コンクリートが固まり、断熱材の層が固定されたら、支持板を取り外します。この方法は、プレキャスト(前もってコンクリートを成型すること)のための製造工場がない場所や、建築作業中にも柔軟に変更をしたい場合に採用されています。流し込んだコンクリートが固まった後には、変更を加えることはできません。

ICF壁は、熱質量壁に比べて若干安価で、同様に冷暖房費を節約することが可能です。内側の断熱層が、壁の内側の熱貯蔵を防ぎます。外側の断熱層は水分を蓄えるので、カビが生じる場合があります。また仕上げのタイプには制限があります。

結論

熱質量壁には、強度がより強いこと、建築が早いこと、光熱費の節約ができること、内面/外面に様々な仕上げが可能であることや、シロアリや湿気に強いといったメリットがあります。割高ではありますが、その価値はあります。

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