ヨーロッパの商業航空の巨人で、ドイツの研究センターDLRと提携しているエアバスは、航空機の排気ガスとエンジンの騒音を減らすために燃料電池の電気を導入する試みの成功を発表しました。7月1日に、ノーズホイールのリムに2つの電気モーターを搭載したA320 ATRA (アドバンスト・テクノロジー・リサーチ・エアクラフト。高度な技術の調査航空機)は、滑走路上で航空機のエンジンを始動させずにプッシュバックポジションから離陸ポイントまで滑走することができることを示しました。ノーズホイールの電気ドライブの電気は、搭載された燃料電池から来ます。
今のところ、燃料電池は航空機のエンジン燃焼航空タービン燃料（ATF）を取り替えるまでに開発が進んではいません。エアバスとDLRは燃料電池が航空機のエンジンが停止しているときに照明、空調、圧縮された空気や他のサービスのための電気を供給するために取り付けられる地上ベースの補助電源ユニットに使うことが可能であると2008年に示しました。
滑走するための電気を供給するための燃料電池の使用は航空機の機能の動力のための代替テクノロジーの適用として重要な進歩です。ハンブルグで行われたA320のデモでは、滑走のためにエンジンを使わないと、エンジンの排気を18％まで削減することができ、騒音はゼロ近くまでカットすることができました。 フランクフルトのような忙しい空港では、航空機にそのような機器が適用されれば、毎日44トンのATFの燃焼を節約することができるのです。
燃料電池は化学反応から電気を生成するもので、バッテリーよりも軽量で環境にやさしいものです。燃料電池から出る排気物は、ただの酸素と水蒸気だけです。炭素排出を削減するために個人の交通手段のための（車、バス、オートバイ）燃料電池を開発する努力が、世界中で続けられています。エアバス-DLRのこの特定のアプリケーションでの燃料電池のデモは、燃料電池の使用のための新しいアプリケーションの開発を促進することでしょう。
欧州における航空研究のための諮問委員会（ACARE）は2020年までに、航空機が出す二酸化炭素を50％まで、NOx排出量を80％、エンジンの騒音を50％まで削減する目標を定めました。これらの目標に到達するため、航空機メーカーと航空会社はバイオ燃料の使用を含めた様々なアプローチを検討しています。そのような補助電源アプリケーションに燃料電池を適用することはACAREのターゲットに応えるための、重要な足がかりとなります。
Via: Gizmag
