なぜ今なのか?
極地方の氷床は日々解け続けています。その結果として海面の水位が上昇し、大陸の海岸線は後退し続けています。この現象の最大の原因が温室効果ガスであり、その主な要素はもちろん二酸化炭素です。地球には光合成によりこのガスを吸収する機能があります。しかし化石燃料が発明され、電気が一般的に使われるようになり、二酸化炭素のような人間が排出する温室効果ガスは、地球が自然に吸収できる範囲を大幅に超えてしまいました。その結果、温度が上昇し、オゾン層が破壊されて、確実に人類の未来への脅威となったのです。化石燃料で走る自動車への過度な依存やエネルギーを大量に消費する産業、石炭を大量に使う発電所などが二酸化炭素排出を増大させています。
こうした問題の解決策を見つけるため、科学者たちは既に研究を重ね、様々なアイディアを考案してきました。そうしたコンセプトは大気からの二酸化炭素隔離、隔離した二酸化炭素をの燃料生産への利用、バイオ燃料使用の強化という3つの目的を中心として展開されています。
ゴミの山から金を得る
ゴミの山から金を得る、という話は全てゴミから始まります。つまり、大気中の二酸化炭素を使って燃料や再利用可能な物質を生産しようとするならば、まず二酸化炭素を採取しなければなりません。この温室効果ガスはエミッションサイトや、 通常でない空気から吸収することができます。エミッションサイトとは、化石燃料を使った発電所やディーゼル・ガソリンで駆動する車を指します。走行中の車から二酸化炭素を採取することは容易なことではありませんので、発電所からの採取に重点が置かれています。
素晴らしいコンセプトですが、反対論もあります。既存の発電所に二酸化炭素分離のための設備を取り付け、採取したガスを輸送するには、非常に費用がかかります。また独立型の採集施設を作ることは比較的容易ですが、大気中の二酸化炭素濃度ははるかに低いです。二酸化炭素採集技術もエネルギーを消費するので、両方のやり方を実験するために様々な試みがなされています。
ゴミのなかから金を得る
1. サンディエゴの研究者による二酸化炭素をエネルギーに変換する技術
金鉱
サンディエゴ大学の研究者たちが大気中から採取した二酸化炭素を使って燃料と再利用可能な物質を生成する新しい技術を考案しました。このプロセスは、大気中の二酸化炭素濃度を減らし、生成される一酸化炭素を再利用するという、二元のメリットで知られています。
採取プロセス
採取のプロセスにはソーラーエネルギーが使われます。日光のエネルギーが触媒を活性化させて、大気中の二酸化炭素を一酸化炭素と酸素に分解します。この一酸化炭素を使ってメタノールや他の化学原料を作ります。ここで生成されるメタノールが燃料として使われます。
キラリと光るもの
メタノールが燃焼すると、二酸化炭素が発生します。しかし排出される二酸化炭素量は、空気から吸収された二酸化炭素の量と同じなので、このプロセスはカーボンニュートラルです。
2.二酸化炭素とソーラーエネルギーから合成燃料を生成する
金鉱
メタノール燃料から発生する二酸化炭素を考え、科学者たちは大気中の二酸化炭素から合成燃料を液体で生成する新たな技術に取り組んでいます。サンディア国立研究所がこの技術を開発しました。
採取プロセス
このプロセスでも、ソーラーエネルギーを使って装置を駆動します。しかし重要な副産物である一酸化炭素は、合成ガスを生成するために使われます。このプロセスは二酸化炭素量を削減することが期待されています。
キラリと光るもの
素晴らしい技術ですが、実現の可能性と開発にかかる費用がネックです。この二つがクリアされれば、将来よりカーボンニュートラルなエネルギーが生まれることでしょう。
ゴールドラッシュ
二酸化炭素数詞がマイナスのバイオ燃料源の開発に向けて、研究者たちは様々な飛躍的発見をしています。そうした発見の一つがシュワネラ菌です。
1.日光と二酸化炭素から燃料を作るバクテリア
この新しい技術では、シネココッカス菌とシュワネラ菌、二つのタイプのバクテリアを使います。シネココッカスが太陽光を使って大気中の二酸化炭素を糖類に変換し、その糖類を使ってシュワネラが脂肪酸を生成し、ケトンに変換します。これらのケトンはディーゼル燃料のような働きをします。つまりこれは大気中の二酸化炭素を水金に変える技術で、これにより石油燃料からの脱却が期待されます。
2. バイオディーゼル
バクテリアを使った合成ケトンの発明よりずっと以前から私たちはバイオディーゼルの存在を知っています。セキュベースのディーゼルは非常に重く、大変効果的にエネルギーを生産することができますが、そのメリットを覆すほど深刻な汚染源となる性質をもっています。バイオディーゼルはその点に置いて、比較的安全です。二酸化炭素や他の有毒ガスの排出量も少ないです。石油ディーゼルと適切に混合させることで、非常に効果的で環境にも優しい燃料として使うことが出来ます。
バイオディーゼルはその地方でとれる作物を使うことにより、世界中で様々な原料から生産されます。バイオディーゼルの生産は、原油から石油を生産するよりも少ないコストで行うことができます。しかしバイオディーゼルへの過度な依存は農家を大豆やコーン、ヤトロファ(ジャトロファ)を始めとる燃料用の作物生産にシフトさせ、それにより食料保障に弊害をもたらす可能性があります。
ドイツでは、バイオディーゼルと大陸東部で採取される天然ガスを混合して使用することが当局により計画されています。2030年には天然ガスを使って10%のバイオガスを生産することを目標にしています。この計画は、上昇する天然炭素水素の価格と増え続ける温室効果ガスへの対策になるでしょう。