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レーザー技術による自動車向けヘッドアップディスプレイがいよいよ登場

ドライバーの目の前にあるフロントガラスにさまざまな情報を映し出してくれる装置がヘッドアップディスプレイです。今では高機能かつ高性能なモデルが手に入りますが、2016年からはスタンダードな車やお手頃価格の車でさえも普通に装備されるようになるそうです。マイクロビジョン社が開発した小型レーザーディスプレー・エンジンを基にした新技術により、これまでのヘッドアップディスプレイが抱えてきたさまざまな問題が克服されそうなのです。

Laser System Paints Information on the Road Ahead

ヘッドアップディスプレイにより車の安全性が向上

運転中の安全に関するさまざまな研究が示しているように、多くの事故はドライバーが道路から目を離した隙に起こっています。これらの研究によると、ドライバーは車が動いている時間の85〜90%は、道路を見続けなければならないとのこと。今日ではドライバーが道路から目を離す原因として挙げられているのは、計測器だけではなく、GPSの地図情報や音声電話、携帯電話のメッセージなど他の装置にも目を奪われるからです。読書用メガネを使用しているドライバーならなおのこと、これらの装置を読むのと道路に目をもどす間に、頻繁に目の焦点を変えなければなりません。

ヘッドアップディスプレイなら、これらの情報をドライバーの視野内に映し出してくれるので、道路から目を離す必要がなく、事故の可能性を減らしてくれるのです。

マイクロビジョン社がレーザーによるディスプレイ技術を開発

ワシントンのレッドモンドを拠点にしている技術開発企業のマイクロビジョン社は、レーザーによるディスプレイシステム「PicoP(ピコ・プロジェクションの略)」を開発しました。この技術を応用した最初の商業的アプリケーションは、スマートフォンやタブレット端末から大型スクリーンに画像を映し出してくれるアクセサリー。会議室や家族団らんの際に使用できます。このプロジェクター用アクセサリーの価格は約350ドルです。

PicoPは赤色と青色、緑色のライトを放射する3つのレーザー装置が1ミリ厚のシリコン製ミラーの上に搭載されており、2つの軸を支えにして動きます。投影される画像はミラーから反映したライトによってピクセルで描かれます。リフレッシュの割合は十分に速いため、画像は静止しているように見えます。

このレーザーディスプレイは従来のLCDベースのカー用ディスプレイが抱えていた問題の多くを克服しています。これらの問題の1つは、さまざまな明るさの条件のなかでディスプレイが見える範囲でした。明るい太陽光のもとで見えるディスプレイは、ライトの強さが高められたものです。しかしこうすると、暗闇ではとても眩しくなってしまうのです。LCDによるライトはドライバーの視線が一定の位置にくると、フロントガラスを反射してしまいます。レーザーは偏光ライトなのでLCDよりも鮮明なカラーを出すため、知覚される明るさはとても強いのです。さらにレーザー光線はフロントガラスを反射しません。レーザーによる画像はドライバーの通常の視野から2から4メートルの距離で映しだされるので、ディスプレイを読むのが簡単です。

マイクロビジョン社は日本のパイオニア・コーポレーションにアフターマーケット向けの自動車用ヘッドアップディスプレイを製造できる使用許可を与えました。これは今年の後半に売り出される予定です。同時に、マイクロビジョン社はデトロイトの自動車大企業とも提携して、これらのディスプレイを2016年のモデルカーに内蔵させる予定です。

市場参入段階での使用において予測される障壁の1つが、コストです。自動車企業はそのシステム費用が200ドル以下になることを望んでいますが、そのためにはレーザー装置そのものの価格が下がらなければなりません。ニチア社やオスラム社、ソラー社のようなレーザー装置を製造する企業は製造規模を大きくしようとしていますが、それでもコスト下落のためには、自動車用OEMアプリケーションだけが生み出せるような規模が必要でしょう。おそらくOEMは従来のすべての目盛盤と計測器を取り除いてヘッドアップディスプレイだけをスタンダードな装備として搭載することが可能になるでしょう。

参考サイト:Technologyreview

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