化石燃料の備蓄の不足と上がり続けるそのコストによって、研究者たちは有機物の持つエネルギーを使用する新技術を開発しました。バイオエネルギーは、今日最も多く使用されている化石燃料に代わるエネルギーとして、急速に頭角を現しています。200年前、バイオエネルギーは地球で唯一の燃料源でした。この再生可能なエネルギー源は、バイオマスとして知られる有機物からできており、化学エネルギーという形で太陽エネルギーを吸収します。
トレンド
1. BIOS-FINシステム
スコティッシュ･バイオロジーの研究と、アリゾナ州立大学のデイヴィッド･カルディーリョ氏が開発した光バイオリアクタ・モデルに着想を得て、BIOS-FINは考案されました。これは、未来のバイオエネルギー製造システムに革命を起こすことが期待されています。チャールズ･リーが考案した光バイオリアクタは、連なる垂直ブレードに似たファサードのある建物が特徴です。自然のバイオフィルターである藻類でできたブレードは、太陽光エネルギーを利用して建物に電気を供給します。太陽エネルギー発電の際、ブレードは建物から出たCO2を吸収します。それに加え、ファサードは廃水処理システムとして機能するのです。塩分の濃度によって色を変える藻類のように、ファサードも藻フィルターによって吸収されたCO2のレベルに応じて色を変え、建物の外面を美しい虹色で彩ります。
2. アンハイザー・ブッシュのBERSシステム
アメリカ・セイントルイス州のアンハイザー･ブッシュによって開発されたバイオ･エネルギー･リカバリー･システム(BERS)は、オペレーションを維持するのに必要なバイオエネルギー発電のために、様々な製造会社から模倣されるかもしれません。アンハイザー･ブッシュの廃水処理施設は、ビール醸造所で排出された廃水を気密リアクタに送ります。ここでは、嫌気性菌が廃水中の小さな有機体を食べ、プロセス上でメタンを生み出します。メタンは、ビール醸造所に送り返され、ボイルの燃料となるのです。バイオ･エネルギー･リカバリー･システムは、毎日約550万(約2090万ℓ)の廃水を処理しています。バイオマスは、醸造所で使用される総エネルギーの10～15％を供給しています。
3. 自立的バイオエネルギー･ドーム
アリゾナのNaataniにあるナバホ・インディアン・リザベーションは、地域住民の食物とエネルギーを供給するバイオ･エネルギー・ドームズを誇りとしています。約11ポンド(約5ｋｇ)の化学物質フリーの有機野菜が、ドームの農場で日々栽培されています。有機食物に加え、バイオエネルギー･ドームは、バイオエネルギー発電において重要な役割を果たしています。ドームで作られたエネルギーは、メタン製造所に送られ、製造されたメタンは電気に変換されます。それに加えて、アオウキクサなど藻類は、魚に餌を供給し池の廃水処理の自然のフィルターとして機能し、バイオ燃料となります。
利点
現在、バイオエネルギーは世界の総エネルギー消費量の15％以上を占めています。コスト率の良いこのエネルギー源は、空気中の一酸化炭素やその他の毒性物質のレベルを大幅に下げることができるのです。廃棄物をエネルギーに変換することで、持続可能な開発が進められます。広範なエネルギー作物の製造は、何百万人もの雇用の機会を生み出すでしょう。エネルギー作物は、食物とは違って周辺の不毛地で製造することができ、また、土地浸食や砂漠化を防ぐ効率的な方法と考えられています。その上、失われた栄養が補充されることで、土地を肥沃にすることができるのです。
実情
バイオエネルギーは、化石燃料に代わるクリーンなエネルギーと讃えられていますが、地球上で最もクリーンなエネルギー源ではないのです。二酸化炭素やその他温室効果ガス源として、環境汚染の原因となっています。エネルギー作物の製造は、エネルギー消費のプロセスなのです。エネルギー作物の生成に使われるエネルギー量は、バイオ燃料によって生まれるエネルギーよりも増大なものです。技術進歩に関わらず、バイオマスは交通機関において効率的な燃料源ではありません。車のエンジンを稼動させるためには、従来の化石燃料よりも多いバイオマス燃料を必要とするでしょう。トウモロコシ、大麦、小麦といったバイオマス燃料になる作物は、殆どが季節的作物で、一年を通して収穫できるものではありません。逆に、燃料として使用される植物が増えれば、地球上の生物多様性にも影響を与えるかもしれません。その上、食物でなくエネルギー作物のために土地を使用することは、政策当局者によって検討されねばならない議論の余地のある問題であるのです。
影響
バイオエネルギー開発の成功は、それが食の安全や環境に与える影響にかかっています。近年、バイオ燃料製造の社会経済・環境の影響を扱うイニシアチブが取られました。ますます多くの国際企業が、バイオエネルギー部門に踏み出しています。国際企業においては、BPバイオフュールが先行的なバイオエネルギー技術会社です。その他屈指のバイオエネルギー企業としては、ノボザイムズ、エナーケム、アベンゴア･バイオエネルギー、ペトロブラスなどが挙げられます。
