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食料問題を解決する都市部における農業

世界的な都市化

これまでの歴史の大半、私たち人間の生活は田舎が中心でした。しかし20世紀になり、膨大な数の人間が都市部に移動したことにより、全てが急速に都市化されました。現在世界の人口の大半が都市部に集中しており、このことが発展途上国の都市の急速な発展につながっています。2005年に発表された世界都市化展望で、国連は非常に急速な都市化現象を詳細に記述しています。このレポートによれば、都市部に住む人口は1900年には2億2000万人(全人口の13%)であったのが1950年には7億3200万人(全人口の29%)に、そして2005年には35億人(全人口の49%)と急増していることが明らかになりました。また同報告によれば、この数は2030年までに最大49億人(全人口の60%)に増加する可能性があります。都市化がアフリカで急速に進行しており、国連の報告書によれば、これが21世紀における最重要課題の一つとなるでしょう。

 

Urban Agriculture

食料不安

都市化の進行は、都市に住む貧困層の増大を引き起こしました。都市に住む9億人以上の人々が飢餓やそれに関わる困難に直面しており、今後もその数は増え続けるであろうと予測されています。経済危機や人口増加、気候変動により世界中で起っている食料の高騰により食料不安や食料不足の問題が世界中で提起されています。現在世界中には21のメガ・シティ(巨大都市)があります。メガ・シティとは人口1000万人以上の都市のことで、ニューヨーク、東京、ムンバイ、メキシコシティ、ダッカなどがそれにあたります。

「ファー・イースタン・エコノミック・レビュー」によれば、2025年までにメガ・シティは26に増えるだろうと予測されています。そのうちの少なくとも10都市はアジアの都市です。食料やエネルギーを巡って進行中のの競争により、食料供給も厳しい課題に直面しています。2050年までに93億人に増えると予想される世界の人口の食料供給のためには、食料生産量を70%増加させなければなりません。FAQの推計によれば、世界中で9億2500万人以上の人が栄養不足である一方で、13億トンの食料が捨てられているのです。

 

都市部における農業の需要

都市部における貧困を減らし、食料の安全問題を解決する一つの効果的な方法は、都市における農業戦略です。都市部における農業には、都市環境管理を強化することにもつながるという利点もあります。都市部での農業は、都市に住む人々にとっての食料の安全性を強化することができます。農村部で生産された食料に都市部の人々が払うお金は非常に高いので、都市部で農業を行えば、コストをカットできるからです。都市部での農業はまた、地域経済の発展に重要な役割を果たし、都市部に住む貧困層を減らすことにつながります。

 

技術

1.垂直農法:環境に優しい農場

Vertical farming

都市の超高層ビルで作物を育てるという概念を、垂直農法と呼びます。この農法の特徴は、移動可能であるということです。縦の支柱を地面に立て、特別に設計されたトラックの上で植物を栽培します。農場はタワーに分けられ、その土台部分にはサイロを設置します。収穫した作物は、プラスチックのシャフトを使ってサイロに送られます。集水キャップや井戸のポンプで水を供給します。ポンプはそれぞれのタワーの最上部に取り付けられ、先端部分にはソーラーパネルが取り付けられます。垂直農法はほとんどメンテナンスが必要なく、従来の農法よりも安価です。

 

2. スプラウト:温室効果ガスを減らす水耕システム

Sprout

土壌を使用せず、水中で植物を栽培する方法を水耕法と呼びます。土壌が植物を育てるのではなく、ただ植物の成長に必要なミネラルや栄養を蓄えるものとして機能しているのです。それらのミネラルや栄養素が水に溶けて根から吸収されることにより、植物は成長します。スプラウトは、連続して流れ続ける溶液から植物が養分を得て成長する、密閉ポリマーシステムです。このポリマーシステムは持続可能なインジオ(天然植物由来のショ糖から作られるバイオポリマー)で作られています。設計者によれば、このスプラウト・システムを使えば、耕作に必要なスペースを節約できます。このシステムのもう一つのメリットは、土壌を使わず、システム内で使われる水はシステム内に貯蔵されて、再利用ができることです。

 

3. 米国・国土安全保障省が連邦捜査局ビルにグリーン・ルーフの導入を計画

Green Roof

屋根を全て、または部分的に植生や生育培地で覆ったものをグリーン・ルーフと呼びます。防水の膜を使って植生を植えます。屋根の障壁や、排水・灌漑のシステムなども使って、植物がきちんと育つ環境を作ります。米国国土安全保障省が、連邦捜査局ビルにグリーンルーフ導入を計画しており、またワシントンの沿岸警備本部にもグリーンルーフが作られる予定です。このプロジェクトの予算は約4億3500万ドルと推定されています。建物の面積は110万平方フィート、植物の屋根と反射用の水たまりも作られる予定です。

 

利点

1. 食料安全と栄養

都市部での農業により増え続ける人口に対応するための食料生産量が増大し、食料の安全と健全な栄養に貢献します。

2. コストの削減

今日の農業システムでは、生産地である農村部から都市部への輸送に費用がかかり、それが食料価格の高騰につながっています。都市部での農業を行えば、その費用が不要になり、結果として食料価格を低減させることができます。

3. 都市の緑化

都市は公害に悩まされています。農業を行うことにより都市が緑化され、汚染を減らすことができます。

4. 新鮮な食料

都市部で食料を生産できれば、都市部の住民も新鮮な食料を手に入れることが可能です。

 

問題点

1. 土地不足

増え続ける人口により土地不足は深刻で、都市部の大半は人口過密の状態です。住宅供給にも困窮するような地域においては、農作のための土地を見つけることは難しいでしょう。

2. エネルギー需要

都市における農業には、一定した電力が必要です。しかし都市部においては既にエネルギー問題が起きており、これを維持するのは難しいのです。

 

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