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花崗岩製の調理台は環境に優しいのか?

過去15年間で、品格と優雅さを表す花崗岩製の調理台がアメリカのキッチンで使われるようになりました。人々は機能的な木製や合板の変わりに、磨き込まれた花崗岩の厚板でできた調理台を選ぶようになったのです。アメリカにおいて、この調理台購入のために使われる金額は年間12~16億ドル(約960~1280億円)と推定されています。1平方フィートあたり60ドルの、膨大な量の花崗岩が切り出され、アメリカのキッチンに使われているのです。

花崗岩には様々な色があります。磨きをかけて高光沢に仕上げることもできるこの素材は、大変堅くて汚れにくく、欠けたりひびが入ったりしにくく、高温にも耐性があります。大きなサイズで入手し、それを必要な大きさにカットして使います。そうすることにより、小さいサイズのものをつなぎあわせる場合に生じるセメントのつなぎ目で仕上がりの美しさを損なうようなことがありません。

しかし、花崗岩は環境に優しい原料なのでしょうか?残念ながら答えはノーです。花崗岩は他の代替品に比べ、その採掘から輸送、裁断や磨きの工程において環境に非常に大きな影響を与えるのです。

 

花崗岩は再生できません

花崗岩は、何百万年も前に冷えて固まったマグマです。こうした岩石が世界中の地殻を形作っています。表面の岩石が長年風雨にさらされて風化して表層土となり、現在私たちが使うことができる形で地下数百メートルに埋まっているのです。花崗岩には、マグマに取り込まれた鉱物の種類によって色が変わるため、数百種類もの色が存在しています。マグマに取り込まれた鉱物は色に影響を与えるだけでなく、縞形や波形といった様々な模様も創りだしました。この模様が、建材としての花崗岩を非常に魅力的なものにしているのです。

花崗岩の埋蔵量は何十億トンもありますが、この原料は再生ができません。一度採掘されたら、再び火山活動が起こらない限り、花崗岩が自然に生まれることはないのです。

 

採掘は自然を破壊します

花崗岩は広大な屋外採石場から採掘されます。一旦花崗岩の採掘場所が決まると、その場所の全ての植物や表層土は取り払われ、花崗岩層がドリルや爆発物を使って壊されるのです。大きな固まりは重さ10トンにもなり、それを小さな固まりに砕いていきます。採掘される花崗岩のうち、加工に使われるのはわずか10%で、残りはごみとして廃棄されます。数エーカーにも及ぶ広大な採掘後の地表には、二度と消えない傷が残ります。採掘で出る埃やごみは、風にのって農作地や集落にも運ばれます。採掘により露出した鉱物が雨水で地下の帯水層にしみ込むと、河川や湖を汚染します。自然の山を掘削するので、地形的・地質的に取り返しのつかない変化が生じ、結果的に気候や降水パターンにも影響をあたえるのです。


長距離に及ぶ花崗岩の輸送が環境に負担をかけます

花崗岩は、それぞれが数トンもある大きな長方形のブロックとして採掘されます。採掘されたブロックは、トラックで加工場へと運ばれます。採掘された地における花崗岩の金額と最終使用の地での金額の差は、南米で採掘された花崗岩が板状にカッティング、研磨のために海を渡って中国に運ばれ、その後販売のためにアメリカに運ばれるという輸送行程により生まれるのです。こうしてあなたのキッチンカウンターに使われる花崗岩は、その輸送過程において大量の二酸化炭素を排出しています。


放射性物質を放散する花崗岩があります

いくつかのタイプの花崗岩、特にブラジルやナミビアで採掘されたものには、少量のウランが含まれていることが分かっています。こうした花崗岩で作られた調理台からはラドンという放射性ガスが放散されます。安全許容量が空気1リットルあたり4ピコキュリーであるところ、100ピコキュリーが計測されました。しかし建材業界は、花崗岩から発生する放射線量は、人が3~4時間飛行機に乗った場合に浴びる放射線量に比べて遥かに少ないとして、この結果に異議を唱えました。放射性物質は少量であっても、不安材料です。現在では、取り付けの前に放射線テストをする人々もいます。花崗岩業界に対して集団代表訴訟を準備している弁護士もいます。


花崗岩に代わる環境に優しい原料

花崗岩に代わる原料はいくつかあります。その一つは勿論ステンレスです。ステンレスは、大量生産されるキッチンやファストフードのカウンター等に幅広く使われています。ステンレスは主に傷への耐性の面で花崗岩に劣ります。ステンレスの表面を傷つけずに保つのは難しいのです。現在では、環境に優しく低価格の代替品が入手できるようになってきました。そのカテゴリーの一つは、「固体表面」と呼ばれ、様々な鉱物の粉末をアクリルや他の高分子化合物で結合させたものです。また「紙然石(Paperstone)」と呼ばれる、再生紙を樹脂で結合させたものもあります。再生ガラスを含むガラスも、広く使われるようになってきました。

 

結論

花崗岩でできた調理台はエレガントで美しい光沢があり、表面を美しく保つことが容易なため、キッチンの調理台に向いています。しかし調理台に使うために採掘され、輸送される花崗岩が環境に与える影響は甚大で、無視できるものではありません。今日、機能面でも花崗岩の調理台に匹敵し、環境に影響をあたえない代替原料が数多く入手することが可能です。


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