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環境に配慮した巨大建造物:Bosco Verticale

Bosco Verticale

大規模構造物

環境に配慮する建築家たちは、建造物や空間をデザインするにあたり、革新的な技術だけを取り入れている訳ではありません。都市のデザインにおいては、時に自然を取り戻し、空間の拡大というよりも展開を伴います。つまり、都市再生と呼ばれるものです。この「再生」のプロセスはその名が示す通り、そこに住む人々に対してより良い生活環境と福祉に直結する都市の部分(時として都市全体)の計画的な成長に全く新たな弾みを与えます。

こうした都市再生の一環として、ミラノの建築事務所BOERISTUDIOは、野心的かつ良心的な2つのユニークな高層住宅のデザインを発表しました。Bosco Verticaleと名付けられたこの魅力的なプロジェクトは、世界初の人工的な高層の森と呼ぶべき物です。そしてこれは単なるコンセプトではなく、間もなくミラノで建築が開始されます。

BOERISTUDIO自身は、この大規模プロジェクトを表す言葉として「大都市植林」を使っています。彼らによれば、市域を実際に拡大することなく都市の環境と都市の生物多様性の再生を促進するプロジェクトです。またこのプロジェクトは垂直方向に展開されるので、全体面積の物理的な増分をせずに、効果的に人口密度を高めることが期待されます。

一方で、垂直構造は広大な都市景観の自然な面を表現します。自然と都市の象徴的かつ空間的なつながりの橋渡し役となるこのタワーは、植林と再生が融合したひとつの存在となるのです。

 

どれほど巨大なのか

面積4万㎡、バビロンの庭のようなこの「緑豊かな」タワーの高さはそれぞれ110メートルと76メートルです。しかしより重要な要素は、このタワーがイゾラ地区に近いミラノの中心部に立地しているという点です。このことは、ミラノを訪れる人々や住民に対して重要な象徴的且つ空間的メッセージとなります。都市デザインにおいて、都市の中心部にたてられるこの2棟からなる緑で覆われた住居用タワーは、環境配慮に対する強力なメッセージとなります。

BOERISTUDIOによると、このBosco Verticaleは現代ヨーロッパの都市における環境的サバイバルのためのデバイスとしても機能します。つまりこの塔が都市部の総合的な順応と植林に直接関与するということです。そのために、この塔の構造の不可欠な要素として、900本以上もの樹木を植えることを計画しました。これらの木はそれぞれたかさ3~9メートルで、低木や草花による自然のシステムを備えます。この壮大な森は平面に展開した場合、少なく見積もっても面積1万メートル以上の森に匹敵します。また、収容される住居エリアは平面に展開した場合約5万㎡に匹敵します。

 

環境への配慮

Bosco Verticaleは、強化回復そしてエネルギーを生産する自己維持システムとして想定されています。前述したとおり、このタワーの特性は植物で完全に表面を覆った(第二の皮膚のように)その構造にあります。この自然の覆いは2つの役割を果たします。第一に、この植物の覆いは建物の微気象の特性をある程度制御します。これにより受動冷却が生まれ、温度を制御することができます。第二に建物外部からのダスト粒子が建物内に入るのを防ぐ、フィルターの役割も果たします。歴史的な建築物に恵まれていながら、イタリアで最も汚染された都市のひとつとされているミラノにとって、こうした特徴はより重要性を帯びます。この構造が理想的な温度の制御をし、二酸化炭素や埃の粒子を吸収し、また騒音を軽減させる役割も果たします。これらはすべて、時間をかけず、効果的に総合的なエネルギーコストを削減することにつながります。

またこの建物の各戸には個性的なバルコニーが備えられています。バルコニーは落葉樹で覆われており、夏には葉が日よけとなり、冬には葉が散って自然の日光を取り入れることができます。そしてこのBosco VerticaleはBioMilanoと名付けらたより壮大な都市再生プロジェクトの一部です。この壮大な持続可能性への挑戦は、この街の周辺で放置された60の農場を活性化することにより、広大な緑のベルトを作り上げる予定です。

 

 

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