海洋へのオイル流出は多くの海洋生態系を破壊しました。２０１０年に４９００万バレルのオイルがメキシコ湾に流れ出した悲劇の結果を見ればそのインパクトは明らかです。オイルは全てを飲みこみエコシステムを毒でもって破壊し、たくさんの環境問題を起こしました。
この状況を制御するために産業用石鹸の表面活性剤など３００万リットルの分離剤がオイル井につぎ込まれました。この薬品はオイル内に染み広がっただけでなく広域にわたって広がっていきました。それでも分解を開始したのは６ヶ月後で、将来の同じような事故の可能性を考えるとよりエコで安全な解決方法が必要です。
そこで科学者チームはオイル分解専用に世界初の磁器石鹸を開発しました。この石鹸は鉄分豊富な塩を水と臭化イオンと塩素で溶かしたものです。イオン部が石鹸組織内に磁芯を形成し、水と混ざると磁場によってコントロールされるという仕組みです。
今のところこのプロジェクトは仮説段階に過ぎませんですが、これをもとに将来的には安全なオイル分解清掃製品が開発できると確信しています。仮説では磁石を使って有害物質を引き上げることで自然環境に無理な負担をかけないようにするものです。チームの代表、フリアン・イーストーは水の洗浄や産業清掃用などといった現在の業務用洗浄液と同じような機能を果たすことが出来るとしています。
この技術は限られた回数だけテストされました。石鹸は比較的密度の薄いオーガニック物質に実験用チューブの中で混ぜられて、磁力の影響で表面から浮きはがれました。
ブリストル大学などの専門機関で研究をするチームは更なる研究を進めて、光やｐＨ値の変化、二酸化炭素に温度、圧力でコントロールできる石鹸の完成を目指しています。
