みなさんは漫画や映画でマッドサイエンティストが秘密の液体を一滴容器にたらすとあっという間に液体があふれ出る、というようなシーンを見たことがあると思います。もしこんな事が実際に可能で少ないものからより多くのものが作れるようになれば、世の中はもっと変わっていたかもしれません。しかし、なんとアメリカの生物エネルギー研究省ではこのことが実現したというのです。研究チームは微生物の量を飛躍的に倍増させる秘密の素材の開発に成功しました。
開発されたシステムの名前はダイナミック・センサー・レギュレータ・システム、通称ＤＳＲＳと言い、脂肪酸により燃料の精製の際に微生物の新陳代謝の変化を察知するのです。システムは対象物質の中心にはたらきかけて、対象生成物特有の細胞の動きをコントロールします。この細胞の動きが微生物による燃料部分の生成をコントロールすることになっています。
生成過程の発酵段階においてプロセス自体のスイッチオン・オフを管理できることは大きな有益をもたらします。この技術によってグルコースから作る生物燃料における微生物の生成物の量を飛躍的に増やすことが可能になります。このことは微生物の新陳代謝をコントロールすることによる直接的な効果であり、生物テクノロジーの分野において将来的に様々な方法で応用されることが期待されます。初期の実験では栄養分や成長補助材による手法がとられましたが、これではどれほど微生物の新陳代謝の活性化に効果があるかは保障がありませんでした。
研究チームのフソング・ザング、ジェームス・カロザース、そしてジェイ・キースリングは今回の発見を「ＦＡベースの化学薬品や燃料の製造のためのＤＳＲＳのデザイン」という論文にまとめ、ネイチャー・バイオテクノロジーのジャーナルの中で発表しました。
